文部科学省は、2025年度(令和7年度)以降の大学入試において、調査書の簡素化と受験生自身が作成する資料の重視を進める方針を示した。これにより、大学入試の評価方法が多面的・総合的なものへと変化し、受験生の主体性や多様な経験がより重視されることになる。
調査書の簡素化とその背景
調査書は、出身高校が作成する大学入試に必要な書類で、学業成績や特別活動の記録、出欠状況などが記載される。しかし、教員の負担軽減や評価の公平性を確保するため、文部科学省は調査書の様式を見直し、記載内容を必要最小限にとどめる方針を打ち出した。
具体的には、「指導上参考となる諸事項」などの記載を簡素化し、教員の主観的な評価による差異を減らすことを目指している。これにより、調査書の作成にかかる教員の負担が軽減されるとともに、受験生間の評価の公平性が向上すると期待されている。
自己作成資料の重視
調査書の簡素化に伴い、受験生自身が作成する資料の重要性が増している。文部科学省は、入学志願者本人が記載する活動報告書や志望理由書、学修計画書などを積極的に活用するよう大学に求めている。
これらの資料は、受験生の主体性や多様な経験、学習意欲などを評価するための重要な手段となる。特に、総合型選抜や学校推薦型選抜においては、自己作成資料が合否判定に大きな影響を与える可能性がある。
受験生への影響と対応
調査書の簡素化と自己作成資料の重視により、受験生は自らの経験や学びを的確に表現する力が求められるようになる。そのため、早い段階からの自己分析や活動の記録、志望理由の明確化がポイントになるだろう。
また、学校側も、受験生が自己作成資料を充実させるための指導やサポートが求められる。特に、総合的な探究の時間や特別活動などの学習活動を通じて、受験生が主体的に取り組む姿勢を育むことが重要だ。
今後の展望
文部科学省は、大学入試における多面的・総合的な評価の実現を目指し、調査書の簡素化と自己作成資料の重視を進めている。今後も、大学や高校、受験生が連携し、新たな評価体制に対応していくことが求められる。
受験生は、自らの経験や学びを的確に表現する力を養い、自己作成資料の充実に努めることが重要である。また、学校側も、受験生が主体的に取り組む姿勢を育む指導を行うことが大事だ。
参考リンク:文部科学省「令和7年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告」
https://www.mext.go.jp/content/20210729-mxt_daigakuc02-000005144_3.pdf
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