大分県教育委員会は2025年6月27日、県立高校のうち県外生の受け入れ枠「全国募集」を実施する4校による合同説明会を福岡市で開催すると発表した。県内高校の魅力を県外に広く伝える取り組みとして注目される。
初の福岡合同説明会、省外進学組へのPR狙い
福岡市中央区大名にある「dot.交流スペース」にて、6月28日(土)12時30分から16時まで開催される。対象は、大分県外からの県立高校進学を検討する中学生と保護者。参加校は、全国募集を行う以下の4校となっている。
・安心院高校
・久住高原農業高校
・国東高校
・日田林工高校
各校の教職員が直接会場に出向き、学校紹介や教育方針、県内の生活環境や住宅情報も含めた説明を実施する。参加は無料だが、事前申し込みが必要。申し込み締め切りは6月26日(木)17時まで。申し込み方法は、大分県教育委員会が公表する案内チラシのQRコードから専用フォームへアクセスする形式となっている。
なぜ県外開催? 入学者拡大と地域間交流が目的
大分県内の高校が福岡で説明会を開催するのは今回が初。
背景には、
①人口減少に伴う中学生数の減少により、県内高校での募集人員確保が課題
②九州内における地域間交流や教育機会の均衡を図る狙い
という二つの狙いがある。
説明会では、それぞれの学校が特色ある教育プログラムや学習環境をアピールするほか、県外から来た生徒向けの学費補助、住まいサポートの説明も行う予定。大分県教育委員会高校教育課担当者は「大分県の高校に魅力的な選択肢があることを伝え、将来的には県内人口の定着・活性化につなげたい」と語っている。
4校の特色を詳しく解説
当日説明に登壇する4校は、それぞれ特色ある教育内容で注目されている。
安心院高校
- ワインや焼酎の醸造学習など発酵・醸造分野に特化した「地球未来科」を展開
- 地域資源を活用した探究学習で、一次産業からグローバルな視点を養成
久住高原農業高校
- 大自然を活かした体験学習に注力
- 小規模校ながら「実感できる学び」でコミュニケーション力や自立性を育成
国東高校
- 宇宙やSTEAM教育に取り組む「宇宙STEAM探究」コースを設置
- 普通科だけでなく産業科目の学びを融合し、多様な学習機会を提供
日田林工高校
- 林業・木材加工に関する専門教育に強みあり
- 造林技術や木工技術・森林環境教育まで網羅する実践型カリキュラム
担当者からは、「単なる学力偏重ではなく、体験を通じて学ぶことや、地域に根ざした資源を活用した学習を県外に広く伝えたい」という声が上がっている。
福岡以外でも開催予定、大分ブランド戦略へ
合同説明会は福岡会場が先陣を切るが、大阪や東京都でも同様の説明会が8月に予定されている。これは教育委員会による「大分高校ブランド戦略」の一環と位置づけられており、他地域での大分県立高校の認知向上が狙い。
福岡開催では各校とも1校あたり6組までの参加申込み枠を設けており、個別相談形式でじっくり質問ができる構成だ。会場では教員だけでなく、卒業生や地方自治体職員も参加し、住居や生活面の相談にも対応。異なる視点からの情報提供体制が整えられている。
参加者の声:「まず話を聞きに来たい」– 福岡在住中学生保護者
開催告知直後から複数の予約が入り、すでに満席の可能性もある。説明会参加を検討している福岡市内在住の中学生保護者は、「県外高校は遠くて分からないイメージがあったが、直接話が聞けるなら行ってみたい。高校の特色が分かるのはありがたい」と話している。
また、県内私立高校から乗り換えを考える保護者もおり、「学費や学びの内容を比べて検討したい」という関心も見られる。
今後の受験スケジュールにも影響
福岡での説明会開催に伴い、中学生・保護者は県外受験も視野に入れた進路設計が可能になる。6月以降は進学指導の流れも早く、大分県教育委員会事務局高校教育課はホームページでスケジュールを公開。参加中学生には、7月以降の学校説明会/体験入学日程との両立を勧めている。
今後、オンライン配信の検討も進められており、県外からの参加機会がさらに広がる可能性がある。
まとめ:地方高校が拓く新たな進路選択
- 福岡市での合同説明会開催により、県外志望者獲得を加速
- 4校の特色ある学びと住環境が直接PRされる機会に
- 県教育委員会による「大分ブランド」輸出戦略の本格化
- 個別相談会・卒業生参加など多層的な支援体制
今後、オンライン配信による説明会の開催や、大阪・東京での巡回開催も予定されており、「大分県立高校を新しい進路候補として選べる時代」が到来しつつある。
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