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大分県高校入試、2026年から大きく変わる!7月10日発表の主要変更点を徹底解説

大分県教育委員会が発表した高校入試改革の全貌

2025年7月10日、大分県教育委員会は2026年度(令和8年度)から導入される県立高校入学者選抜制度の重要な変更点を発表しました。今回の改革は生徒の進路選択の幅を広げ、入試制度の透明性を高め、変化する教育環境に対応することを目的としています。  

この7月10日の発表は単なる個別の制度変更の羅列ではなく、大分県教育委員会が高校入試制度全体を包括的に見直し、将来を見据えた戦略的な方向性を示したものです。複数校志願制度の導入と推薦・自己推薦入試の拡充・透明化という2つの大きな柱はそれぞれが独立した調整ではなく、連携して機能するよう設計されています。これは大分県の高校入試がより公平で、より柔軟な、そして生徒一人ひとりの可能性を最大限に引き出すための統一された政策方針に基づいていることを示しています。

新たな進路選択の扉:複数校志願制度の導入

2次入試の廃止と制度の背景

2026年春の県立高校入試から、これまでの第2次入学者選抜が廃止され、新たに「複数校志願制度」が導入されます。この制度の変更は大分県が直面する喫緊の課題に対応するためのものです。近年、大分県では急速な少子化が進み、特に大分市への人口集中が進んでいます。これにより、地域によっては県立高校の欠員が増加するという問題が生じていました。

この制度変更は、単に古い仕組みを新しいものに置き換えるだけでなく、深刻化する人口減少と地域格差という構造的な問題に対する政策的な対応策として位置づけられます。県教育委員会はこの新制度を通じて、欠員が増加している地域の高校を活性化し、教育資源の地域的な偏りを是正することを目指しています。これは、生徒の進路選択の機会を広げると同時に、地域社会の持続可能性を支える重要な取り組みと言えるでしょう。  

複数校志願制度の仕組みとメリット

新たに導入される「複数校志願制度」は、第1次入試で第1志願校に合格できなかった生徒が、欠員のある県立高校を第2志願として出願できる仕組みです。この制度の大きな特徴は、第2志願校の選抜において、追加の試験や入学考査料が不要である点です 。第1次入試の得点と調査書がそのまま流用されるため、生徒や保護者の負担が大幅に軽減されます。また、面接も実施されません 。  

この「追加の試験や費用が不要」という点は、受験生にとっては大きなメリットです。従来の2次入試では再度の受験準備、交通費、そして精神的な負担が伴いました。新制度ではこれらの障壁が取り除かれることで第2志願の選択肢がより現実的かつ利用しやすいものとなります。これにより、生徒は不合格になった場合でも、過度なストレスを感じることなく、新たな進路を模索できるようになり、実質的に進路選択の機会が拡大されることになります。これは単に欠員を埋めるだけでなく、柔軟で安心感のある入試制度への転換といえます。

一発勝負のデメリットも…

一方で、従来の2次入試が廃止されることで、第1次入試が「一発勝負」となることへのプレッシャーを感じる生徒もいるかもしれません。

普通科における地域制限の詳細

このように複数校志願制度は生徒の選択肢を広げるものですが、普通科においては出身中学校の市町村によって出願できる高校に制限が設けられています 。これは2008年度の入試から導入された「全県一区」制を基本としつつも、地域の高校の志願者数減少という現状を踏まえた戦略的な調整と言えます 。  

一方、専門学科や総合学科についてはこのような地域制限はなく、県内の欠員のあるいずれの高校にも出願が可能です。この制度設計は生徒の自由な進路選択と、地域の学校を維持・活性化させるという2つの目標を両立させようとするものです。通学区域制度検証委員会は、引き続き「全県一区をベースとすべき」と答申しながらも、「一部の選抜方法では通学区域の設定もあり得る」と提言しており 、今回の普通科における地域制限は、この提言に沿った、特定の選抜方法における柔軟な対応として導入されたものと解釈できます。  

以下に、普通科の第二志願校として出願可能な地域と高校の一覧を示します。

表1:普通科の第二志願校 出願可能地域一覧  

出身中学校の所在地出願可能な高校(普通科)
中津市、豊後高田市、宇佐市中津南高校、山国高校、中津北高校、高田高校、宇佐高校、安心院高校
国東市、姫島村、杵築市、日出町、別府市国東高校、杵築高校、別府鶴見丘高校、別府翔青高校
大分市、由布市県内の全ての高校
臼杵市、津久見市、佐伯市臼杵高校、津久見高校、佐伯鶴城高校
豊後大野市、竹田市三重総合高校、竹田高校
日田市、九重町、玖珠町日田高校、玖珠美山高校

個性を活かす入試へ 推薦・自己推薦入試の拡充と透明化

推薦入試改革の背景と目的

推薦入試制度の改革は、2023年に発覚した問題、すなわち特定の部活動を強化するために、事前にリストアップされた受験生の得点に一律に加点が行われていたという事態が直接的な引き金となっています。この不透明で不公平な運用は大きな問題となり、大分県教育委員会は外部有識者を交えた検討会議を開催し推薦入試のあり方について議論を重ねました。

この過去の不祥事を踏まえ、今回の改革は推薦入試の透明性と公平性を徹底的に確保し、生徒の多様な個性や能力をより適切に評価することを目的としています。推薦入試が本来の目的である、生徒の特定の才能や努力を正当に評価する場として機能することが期待されます。

自己推薦入試の導入と選抜方法

今回の改革で特に注目されるのが、新たに導入される「自己推薦入学者選抜」です 。この制度の最大の特徴は、中学校長の推薦を必要としない点にあります 。これは、全ての県立高校の全ての学科で実施される予定であり、生徒が自らの意思で、自身の強みや学びへの意欲を直接アピールできる画期的な機会となります 。  

自己推薦入試では、調査書と志望理由書が必須の提出書類となりますが、各高校は必要に応じて、学力検査、小論文、適性検査、実技検査、面接などを選抜資料として追加することができます。中学校長の推薦が不要となることで、従来の推薦入試では機会が限られていた生徒、例えば特定の部活動で際立った実績がないものの、強い学習意欲やユニークな才能を持つ生徒にも、高校進学の新たな道が開かれます。これは画一的な学力評価に偏らず、生徒一人ひとりの主体性や多様な能力を多角的に評価しようとする、より包括的な入試制度への大きな一歩と言えるでしょう。  

指定活動推薦入試の概要

自己推薦入試と並行して、「指定活動推薦入学者選抜」も明確に導入されます。これは各高校が指定するスポーツ活動や文化活動において優れた実績を持つ生徒を対象とし、中学校長の推薦を必要とする入試区分です。この制度の明確化は、2023年の加点問題を受けて、特定の活動分野における選抜の透明性を高めるためのものです。  

特に、活動指定のある募集人員については、個別の競技会や大会ごとではなく、「スポーツ活動」「文化活動」といった包括的な活動名で募集人員が設定され、その募集枠は募集定員の20%以内と上限が設けられます 。これにより、特定の活動に対する恣意的な加点や不透明な選抜を防ぎ、公平な基準に基づいた評価が可能となります。過去の教訓を踏まえ、才能を評価するプロセスをより明確で、誰もが理解できるものにすることで、制度への信頼性を回復し、真に優れた才能を持つ生徒が正当に評価される環境を整備することが意図されています。  

評価基準と募集人員の明確化

推薦入試A(一部の専門学科対象)およびB(普通科等対象)の両方において、各高校は調査書の評定に関する基準を推薦要件に明記できるようになります 。さらに、選抜資料の評価基準や配点(比率)も各高校のウェブサイトや県教育委員会のウェブサイトで公開されます 。  

また、普通科および専門学科を対象とする推薦入試Bの募集定員は、これまでの募集定員の20%以内から、各高校の判断で25%以内まで拡大されます 。これらの措置は、入試プロセス全体の透明性を大幅に向上させるものです。受験生とその保護者は、どのような基準で評価され、何が重視されるのかを事前に明確に把握できるようになります。推薦入試枠の拡大と評価基準の公開は、学力検査一辺倒の入試から脱却し、多様な能力や個性を評価する多角的な選抜への移行を示唆しています。これにより、学校はより多様な生徒を受け入れることが可能となり、生徒にとっても自身の強みに合った高校を選択しやすくなることが期待されます。  

改革のねらい:生徒の可能性を広げ、地域を活性化する

2025年7月10日に発表された大分県教育委員会の高校入試改革は、単なる制度の修正に留まらず、2つの大きな目標を掲げています。それは「生徒の可能性を広げること」と「地域社会を活性化すること」です。  

複数校志願制度の導入は、生徒にとってのセーフティネットとなり、第一志願校に不合格となった場合でも、追加の負担なく新たな選択肢を得られる機会を提供します。これは生徒がより安心して、主体的に進路を選択できる環境を整備するものです 。同時にこの制度は少子化や都市部への集中によって欠員が増加している地域の高校を支援し、その活性化に貢献するという戦略的な側面も持ち合わせています 。  

一方、推薦・自己推薦入試の改革は、過去の不透明な運用への反省から生まれました 。自己推薦入試の導入は、学力試験だけでは測れない生徒の多様な才能、意欲、そして個性を評価する道を開きます。また、指定活動推薦の明確化や評価基準・募集人員の公開は、入試プロセス全体の透明性と公平性を高め、生徒が安心して自身の努力をアピールできる環境を創出します。  

まとめ:未来を見据えた大分県の高校入試

大分県教育委員会が2025年7月10日に発表した高校入試制度の変更は、県内の教育環境にとって画期的な一歩となります。複数校志願制度の導入から、推薦・自己推薦入試の拡充と透明化に至るまで、これらの改革は、より透明で、公平、かつ生徒に寄り添った入試環境を創造することを目指しています。

新制度は、生徒が高校選択においてより大きな柔軟性を持ち、地域の高校が抱える課題に対処し、地域全体の教育力を維持・向上させるための重要な支援策ともなります。大分県が将来の人口変動に対応し、全ての生徒が自身の教育目標を追求し、地域社会に貢献できる機会を確保するための、積極的な取り組みが今回の改革に込められています。

受験を控える生徒、保護者、そして教育関係者の皆様には、大分県教育委員会および各高校の公式ウェブサイトで公開される最新情報や詳細な要項を十分に確認し、これらの重要な変更点を理解した上で、今後の進路選択や指導に役立ててください。

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